ラッシュライフ

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伊坂幸太郎さんの本です。「重力ピエロ (新潮文庫)」でも出てきた黒澤さんが泥棒として出てきます。

ラッシュライフ (新潮文庫)
伊坂 幸太郎
新潮社
売り上げランキング: 4965
おすすめ度の平均: 4.0
3 うーむ・・・
4 騙し絵
4 この作品があってる人
4 伊坂ワールド・・・
5 "テクニック"に☆5です。

  • 概要
この物語は5つの視点が切り替わって進行して行きます。金持ちの画商、戸田に付き添っている売れない画家、志奈子の視点、泥棒の黒澤の視点、「高橋」の信者である河原崎の視点、愛人殺害を目論む京子の視点、会社をリストラされて求職中の豊田の視点。それぞれの物語が絡まりながら、1つの終着点に向けて動き出します。

  • レビュー
5つの視点というのは自分の中でなかなか新しかったですね。普通の小説だとせいぜい2つか3つくらいでしょう。視点の移動の際に混乱しないように目印がついているのも親切設計ですね。

オチといいますか、この5つの物語のつながり方は面白かったです。「あのシーンはこういう風につながっているのか!」と、後半でわかったりして面白いですね。強烈なオチ!というわけではありませんが、ニヤッとさせられる仕掛けが多いので、飽きずに読めると思います。

ただ、テーマと呼べるものがあまりなかったと思います。どちらかというと、矛盾のないように注意して作られた物語という感じで、この作品で何を訴えたかったのか?があまり伝わらなかったですね。そのような小説でも良いのですが、そうであれば、もう少し強烈なオチが欲しかった所です。

でも伊坂作品らしく、セリフは洒落ているのが多いですね。

声に耳を傾けて、最善を尽くし、祈ること
P.126
これは神様と胃が似ていることを指摘して言ったセリフです。どちらも直接触れることはできないので、声に耳を傾けて、最善を尽くして祈ることしかできない。神様を胃で表現するというのは面白いですね。わかりやすい例えだと思います。

個人的には泥棒の黒澤さんが好きですね。セリフがいちいちかっこいいです。以下の2つがお気に入りのセリフですね。

人生については誰もがアマチュアなんだよ。
P.277
東野圭吾さんの学生街の殺人でも同じようなセリフがありましたね。人生は一度きりだから誰もが新人だと。良いセリフですよね。年をとっても新人のつもりで謙虚に生きたいものです。

世の中にはルートばかりが溢れている、とね。そう言ったよ。人生という道には、標識と地図ばかりがあるのだ、と。道をはずれるための道まである。森に入っても標識は立っている。自分んを見つめ直すために旅に出るのであれば、そのための本だってある。浮浪者になるためのルートだって用意されている
P.217
これは正確には友人の言葉ですが、黒澤が言った言葉を伝えているので、黒澤の言葉でしょう。いわゆるレールの上にのっかりたくないという人に聞かせてあげたいですね。

やはり伊坂作品は会話のやりとりを楽しむ作品とみても良いと思います。この会話に魅かれた人は、伊坂ワールドのとりこになると思います。伊坂作品未読の方は是非一度読んでみて下さい。



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