学生街の殺人

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東野圭吾さんの初期の作品です。放課後 (講談社文庫)卒業 (講談社文庫) などを書いて学園物作家と呼ばれていた時期ですね。

学生街の殺人 (講談社文庫)
東野 圭吾
講談社
売り上げランキング: 5322
おすすめ度の平均: 4.0
4 モラトリアムの真っ只中にいる津村光平の内面的な成長
4 一読の価値あり
4 "フリーター"で生計を立てている人に向けたメッセージ本
5 若き東野の勝負
5 完成度が高い
  • 概要
ある寂れた学生街のビリヤード場でバイトしている主人公。ある日、同じバイト先の男を刺殺死体で発見します。謎が多い男の隠された過去は何なのかを考えている内に、続けて殺人事件がおこってしまいます。殺人事件を追っていく内に、寂れた学生街に集まる人々に隠された秘密を暴いてしまいます。その秘密とはなんなのでしょうか。

  • レビュー
これは本格派ミステリーに近いですね。どのように殺されたのか、犯人は誰なのか、に焦点が置かれていると思います。密室トリックなんかも出てきますしね。近いという表現をしたのは、ある人間がかかえている秘密は何なのか、という謎にも焦点が当たっているからです。

自分としてはあまりラストの教会のくだりが好きじゃなかったです。少し後味が悪かったですね。ただ主人公の心境を考えると仕方がない気もしますが、前半は丁寧にかかれているだけにもう少し救いをもたせてあげたかったです。

実はこの作品で一番印象に残っているのは以下のセリフです。

「どんな人間でも、一種類の人生しか経験することはできん。一種類しか知らんわけだ。それなのに他の人間の生き方をとやかくいうことは、傲慢というもんだ」
「道を間違ったらどうするんだい?」
「間違ったかどうかも、本当は自分で決めることだと思うがな。間違いだと思えば引き返せばよい。小さなあやまちをいくつも繰り返しながら、一生というのは終わっていくものではないかな」
「中には大きなあやまちもある」
「それは、ある。その場合でも、その事実から目をそらしてはいかんだろうな。償う気持ちを宝にして、その後のことにあたるべきだろうな。それでなくては、生きてはいけん。たぶん、な」

「」の数など一部改変
大学院に行くと言って、実は大学をやめてバイトをしていた息子のもとに、父が来て言った言葉です。当時の自分としては衝撃でしたね。どんなに人生経験を積んだ人でもそれは「その人の人生」であって、他人に適用できる話ではないと。自分に子供ができたら言ってみたいセリフですね。

私見ですが、この作品のタイトルは「学生街の呪縛」でも良かった気がします。でもこれだとホラーだと思われるかもしれませんね。

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